今日は昨年からの目標であった「三嶺~剣山」の日帰り縦走を行う。
先日、折りたたみ自転車を購入し、ようやく縦走できる環境が整った。
この縦走にはいくつかこだわりがある。
まず「剣山~三嶺」の縦走ではなく「三嶺~剣山」の縦走であるという点。
剣山起点の場合、標高1500m地点から、2000m地点まで登り、アップダウンを繰り返しながら1800m地点を目指し、800m地点に下る。
三嶺起点の場合、標高800m地点から1900m地点まで登り、アップダウンを繰り返しながら2000m地点を目指し、1500m地点に下る。
どうみても、辛いのは三嶺起点の場合。
また、車を置いてあるところまで戻ることも考えなくてはいけない。 三嶺に下った場合は、車までずっと登らなくてはならない。 この場合、自転車はかなり無力だ。
そして、三嶺起点でも、登山口がいくつかある。
一般的な縦走コースで使われるのが「名頃登山口」。 だが、個人的にこの登山口はあまり好きではないので、疲れるが内容が充実してる「いやしの温泉郷」から登るルートを選択。
地図上でのコースタイムは11時間45分。 しかし、このコースタイムは疲労や休憩時間を考慮していない。
実際にはその時間よりだいぶ延びるだろう……
それを日帰りで実行するので、相当早くから登らないといけないな。
というわけで、前日の22時半に家を出発。 本当は夕方に出たかったのだが、いろいろあってこの時間にしか出られなかった。
深夜1時前に見ノ越に到着。 折りたたみ自転車を組み立てて、運動靴と自転車用のライトを自転車とともに置いておく。 下山してきたら、この自転車で車を目指すのだ。
いやしの温泉郷登山口には深夜1時半くらいに到着。 とりあえず早く寝なくては…… 目覚ましを午前4時にセットし、狭いパジェロミニのトランクで就寝。
あっという間に目覚ましが鳴る。 眠い目をこすり、必死になって起きる。 外はまだ真っ暗。 そしてかなり寒い。
とりあえず朝食。 コンビニで買っておいた、レトルトの赤飯があるので、お湯を沸かして作る。
ご飯を食べ、コーンスープを飲み、登山の格好に着替え終わったのが5時くらい。 しかしまだ真っ暗だ… とてもこの暗闇では登ることができない。 計画では5時くらいに出発だったのだが、仕方ないな。 そして眠いので5時半くらいまで仮眠するか。 再び目覚ましをセットし30分ほど仮眠。 次に目が覚めたら、外は結構明るくなっていた。 これなら登れるな。
ゴソゴソといろいろしてたら、結局出発は5時50分になってしまった。
今日の山行は相当ハードになるので、気合いを入れていかなくては。
出だしは地元の人か、有志によって登山道の草が綺麗に刈られていた。 が、少し進むと草ぼうぼう。 胸辺りまで丈があるので、下半身はビショビショだ。 だが、山の中に入ったらこんなのは無かったはずなので、すこしだけの我慢。
少し進み、山の中の道に入る。 少し歩けばズボンも乾くだろう。 序盤はけっこう傾斜のきつい道が続いたと思う。 慎重に行かなくては…… しかし歩き始めて僅か10分ほど。 どうも右膝に違和感が…… 全然歩いていないのに、膝が痛くなる兆候が… なんでだ? 先週は登山に行ってないし、最近特に激しい運動をした覚えもない……
途中から痛くなるのは仕方ないが、こんな序盤で痛くなってもらっては困る…… もっと歩幅を狭くしてゆっくり歩かなくては。
モノレールと並行して歩く道に出て、急傾斜の道を歩き、モノレールのレールをくぐる。 そしてしばらく歩くと、旧造林小屋に到着。 コースタイムの区切り地点なので、ここで少し休もうか。
前回は1時間13分で到着したのだが、今回は1時間37分もかかっている。 地図のコースタイムは1時間40分なので、予定通りといえば予定通りなのだが、前回のタイムも計画の参考にしてるので、ここでも20分オーバーは影響が出そうだ。
前回、アイゼンを付けた個所を通過し、開けた樹林地帯へ。 ここから、ゴールとなる剣山が綺麗に見える。 そしてメチャメチャ遠い。 本当にあそこまで行けるのだろうか……?
開けた場所を通過し、少し進むと1791m地点。 ここで少し休憩するか。 ここからは三嶺小屋や、山頂が見える。 少し下って、登りなおしたら三嶺小屋だ。 もう少しだ!
そして、三嶺小屋に到着。 とりあえず、三嶺山頂で休憩するか。
すぐに三嶺山頂に到着。 ここでおにぎりを1つ食べて休憩。 ここまでも結構なコースなので、普通にピストンでも充実した感じがする。 が、ここがようやくスタート地点のような感じだ。 先はまだまだ長い。
最初の予定では、ここには9時くらいに到着する予定だった。 今の時刻は10時前。 だいぶ遅れてきてしまった。 ここから白髪避難小屋までが2時間。 白髪避難小屋から丸石避難小屋までが3時間。 丸石避難小屋から次郎笈までが2時間。 単純計算で、次郎笈に到着するのが17時… しかも疲労を考慮していないタイム。
最悪の場合は、丸石避難小屋から、二重かずら橋にエスケープするルートも考えてはある。 が、車まではとても歩いていきたい距離ではないので、何とかしないといけないが、とりあえず国道まで出たら安全というルート。
とりあえず白髪避難小屋まで頑張ろう。
三嶺から白髪避難小屋へ向けて、急な下りが始まった。 下りは間違いなく膝が痛くなるので、今回は秘密兵器を持ってきた。 冬山以外では使わないようにしていたストック。 この時期なのだが持ってきてしまった。 ストックがあれば、下りで足への負担はかなり減らすことができる。 使うのは下り限定で。 登りでは使わないようにしよう。
ストックの効果は絶大で、全く足に負担がかからずカヤハゲへのコルまで下りてきた。 カヤハゲへの登りもそれほど大したことはない。 カヤハゲで少し休憩し、白髪避難小屋を目指す。 コルについたらストックをしまい、山頂についたらストックを準備する。 この手順がけっこう面倒だけど、手に持ったまま歩くわけにはいかないので。 少しの手間を惜しむだけで、体にはダメージが…
白髪避難小屋への登りが始まった。 ここの登りはなかなか渋い。 けっこうな急斜面が続く。 まぁ、足場が草なので、歩きやすいのだが。
白髪山への分岐を通過し、白髪避難小屋に到着。 中で少し休もうかと思ったが、小屋は密閉されていたため微妙なにおいが充満。 そして薄暗いので、外で休憩することに。 が、あまり休憩している時間も無いので、すぐに歩きだす。
時刻は11時46分。 上に書いた大雑把なコースタイムよりは早いペースだが、ほんのわずかに早いだけ。 ここから先はアップダウンも少なくなるが、その分距離が長い。 頑張ろう。
1700m地点、1736m地点を通過。
石立山の分岐を通過し、高ノ瀬を目指す。 高ノ瀬直前で、前方からお遍路さんの格好をした人が歩いてくる。
すれ違いざまに話したのだが、なんと相手は外国人。 格好はお遍路さんだが、靴はきちんとした登山靴。 話をしてみたらオランダ人とのこと。 剣山から来て、大歩危駅を目指してると。 そして途中からはバスで移動するんだって。 水曜日には京都に行かないといけない。 という事を、相手のうまい日本語と、オレのへたくそな英語でやりとりして別れた。
高ノ瀬で少し休憩し、丸石を目指す。 丸石の二重かずら橋の分岐の時点での時刻は重要だな。
高ノ瀬からの下りの途中で、女性2名のパーティとすれ違った。 この時間にここにいて、三嶺方面に歩いて行くという事は、今日は白髪避難小屋泊まりか? それともその付近に野営か?
二重かずら橋への分岐を通過し、丸石避難小屋に着いたのが14時22分。 大雑把なコースタイムより40分短縮。 このペースなら間に合いそうだ。
足が非常にだるく、座って休憩をしたかったのだが、休んでいる時間は無い…… お腹も減っているので、丸石を目指す途中、歩きながらパンを食べることに。 緩やかな上り坂が続く地点なので、歩きながら食べるチャンスはここしかない。
丸石への道ではけっこう人とすれ違った。 単独の男性、10人程度の60歳前後のグループ。 二重かずら橋から登ってきたのだろうか? それとも三嶺を目指して、山泊まりだろうか?
しばらく歩き、丸石に到着。 ようやくここまでやってきた。 次郎笈はすぐ目の前に見える!!
が、ここからスーパー林道の分岐付近まで一気に下る。 そしてそこから次郎笈までは標高差300mの登り。 これはかなりつらいだろう…… 丸石でも休みたかったが、ここでも休んでいる時間は無い…… ストックをしまう都合があるので、スーパー林道分岐まで行ったら休もう……
膝が痛くならないように、ストックに体重を乗せて下っていく。 序盤で痛くなりかけた右膝だが、たまに痛む程度で、ほとんど問題は無い。 左は痛くなる気配は無い。 このまま行ければ大丈夫そうだ。
丸石からの下りは、気持ちのいい笹原なのだが、今は疲労で、そんなことを考えている余裕があまりなかった。
クタクタになりながら、スーパー林道分岐まで到着。 ここでようやくしゃがみこむ。 お茶を飲み、チョコをむさぼる。
不思議なことに、お腹はあまり空かない。 出発してからここまで、おにぎり1個半、パン1個、チョコ4粒程度、ビスケット3枚程度しか食べていないのだが…… お茶の残りは500mlくらい。 コーンスープや紅茶を飲もうと真水が2Lあるのだが、とてもそんな時間は無さそうだ。 ここから先はあまり飲みたくはないが、水場もあるので不要な水は捨てて荷物を軽くしよう。 水を1.5Lくらい捨てて荷物が1.5kg軽くなった。 次郎笈への登りが少し楽になるかな……
剣山へのトラヴァースルート分岐までが前半、そこから山頂までが後半か。
ここも結構な急な登りが続く。 クタクタで辛い…… トラヴァースルート分岐までやってきた。
ここから次郎笈の山頂までの標高差は100mちょっとなのだが、かなりの急傾斜だ。 正念場だな…… なんとか登り切り次郎笈山頂に到着。 時刻は16時20分。 残り体力もかなり少ない。 目指す山はあと1つ、剣山だけだ。 そして目の前には、その剣山が見える。
あとちょっと……
次郎笈を下り始める。 そういえば、何度も次郎笈に来ているが、いつも丸石方面に下るので、剣山方面に下るのは初めてだな。 そして、次郎笈方面から剣山山頂を目指すのは今日が初めてだ。
いつもは剣山から次郎笈を目指し、そのまま西島に向かうので。
次郎笈の下りで思ったより時間がかかった。 そして剣山への登り。 登りなのでストックはしまわないといけないのだが、体力的にもう限界。 ストックを使って登ることに。 足で登らないといけないのだが、腕で登っていたような気がする。 体力と気力が尽きる前に、なんとか剣山山頂に到着。 時刻は17時23分。 しかしここで終わりではない。 ここから見ノ越まで下りなくては。 まぁ暗くなっても下りられるようなルートだけど、最後の下り、頑張らなくては……
下りに使うルートは最短コースの、刀掛の松経由のルート。 このルートはけっこう階段が多いので膝だけはカバーしなくては。 剣山への登りで、ストックを使って登ってしまったので、膝にダメージを受けたかも。
この時間、誰もいない登山道を西島に向かって歩く。 丸石手前から誰にも会っていないな。 次郎笈でも時間が遅かったため誰もいない。 剣山山頂では、別の遊歩道にヒュッテ泊まりの様子の親子がいた。 ヒュッテ脇を歩いた時は、なかから笑い声が聞こえてきた。 孤独だ……
いつも一人で登っているので孤独は慣れているし、好きなのだが、疲労と孤独と、闇が重なるとなんとも言えない気分になってきた。
18時、西島到着。 当然だけどリフトの営業時間は終了している。 次郎笈山頂にいる時、「16時45分で終了です」という放送が聞こえてきていた。
まぁリフトが営業していても絶対に乗らないが。
三連休なので、西島の野営場には誰かいると思ったが、テントが1つも見当たらない…… 野営場を越えたら樹林地帯に入るので、一気に暗くなってきた。 とりあえず、まだヘッドランプ使わずに歩ける明るさだな。 しかしこの時間、暗くなるのは非常に早い。 リフトの下をくぐる部分で、もう何も見えなくなりそうなのでヘッドランプを準備。 ここまで来たら、もうすぐだ。
真っ暗な中ライトを頼りに歩いていて怖いことがあった。 それは鹿。 ガサガサと音がして、突然目の前に現れる。 昼までも少しビクッとするのだが、夜はそれが怖い。
まぁ鹿は襲ってはこないだろうが。
途中、草を食べてる鹿に遭遇したし…
そして、18時41分。 ついに下山した。 深夜に自転車を置きに来た見ノ越の駐車場に向かう。 自転車の場所に戻ったら疲労で座り込んでしまった。 座りながら登山靴から運動靴に履き替え、長袖を上からはおり、登山靴をザックの中にしまう。 さて、ここからいやしの温泉郷登山口まで、自転車で移動だ。 この自転車の移動は、真っ暗になる前に済ませておきたかった……
自転車のライト+ヘッドランプで、真っ暗な国道439号線を進む。 車で通った時計測しておいたが、いやしの温泉郷登山口までは15km。 最初の13kmが下り。 最後の2kmが登り。 深夜の車走行で30分ほどかかった。 自転車でもほぼ下りなので、同じくらいの時間でいけるだろうか? とりあえず、車にひかれないように、走行中に転倒しないように、鹿にやられないように、気をつけなくては。
こんな真っ暗のなか、18時58分、出発。 下り坂なので、快適に走行できる。 折りたたみ自転車で多少不安定なので、スピードはあまり出さないように気をつけて…… しかし高校卒業してから、自転車なんてまともに乗っていなかったので、めちゃめちゃ久しぶりだ。 先週4日ほど、折りたたみ自転車の乗り心地を確かめるために1日8kmくらい走っていたが。
リュック背負ったまま走ってるので、背中が重いが楽しい。 途中、対向車とすれ違ったが、車の人は、こんな真っ暗な中自転車で走ってる姿をみて、何を思ったのだろうか……
19時18分、名頃通過。 19時30分、いやしの温泉郷分岐までやってきた。 33分で13km、車とあまりペースは変わらないな。
そして地獄の2kmの上り坂。 最初は下り坂でつけた勢い+立ちこぎでなんとか走ったが、息が切れそれ以上こげなくなった。 自転車を押しながら歩き、緩やかな個所を見つけては乗って進む。 車で走った感じと、実際自転車で走った感じは多少違く、自転車でもそんなに押すことなく走行することができた。
19時40分、ようやく車まで到着。
癒しの温泉郷登山口から、見ノ越まで、行程時間は12時間51分。 そのうち休憩が56分。 意識して休憩時間を短くしたが、1時間以下だったとは。 それにしてもよく歩けたなぁと感心。 膝は痛くないが足は非常に痛い。 リュックとストックのせいで、肩も痛い。 素手でストックを使っていたので、てのひらも痛い。
だけど、去年から目標に立てていたコースを走破できてとても満足。 たぶんこのコースを日帰りで挑戦することは、もう無いだろう…… もしまた、同じコースを歩くとしたら、山の中で1泊したい。
家を出てからちょうど24時間後の、22時30分くらいに帰宅。
本日のコースタイム
05:50 いやしの温泉郷登山口
07:27~07:33 旧造林小屋
09:03~09:11 1791m地点
09:32 三嶺小屋
09:45~09:55 三嶺山頂
10:46~10:51 東熊山山頂
11:02 韮生越
11:30 白髪山方面分岐
11:40~11:46 白髪避難小屋
12:09 1700m地点
12:36~12:40 1736m地点
13:10 石立山分岐
13:35~13:38 高ノ瀬
14:22 丸石避難小屋
14:51 丸石
15:15~15:22 スーパー林道分岐
15:59 トラヴァースルート分岐
16:20~16:24 次郎笈山頂
16:45 トラヴァースルート分岐
16:58 西島方面分岐
17:23 剣山山頂
17:48 刀掛の松
18:00~18:03 西島
18:41 見ノ越
ここから自転車でのコースタイム
18:58 見ノ越
19:18 名頃
19:30 いやしの温泉郷分岐
19:40 いやしの温泉郷登山口
【徳島】三嶺~剣山【縦走】
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